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オサマ・ビン・ラディン殺害。この事実を映画で考える

ビン・ラディンが米軍によって殺害された事件が世の中を騒がせている。
日本の報道はアメリカの報道をそのまま受け売りで流しているものがほとんどだ。

今回もやはり、メディアの伝えることを鵜呑みしていてはいけないだろう。自分の知性で事件を捉え、考察することが大事だろう。

それには情報をさまざまな方面からかき集めることが大事だろう。
われわれはどうしても西洋諸国からの報道は目にするが、今回の事件をイスラム圏の人たちはどう捉えているのについてはわかりずらい。

まず、イスラム圏の人々の生の声をどうやったら聞けるのだろうか。
政治体制のこともあるから自由に発言するのもはばかられる国もあることだろう。

しかし、西洋一辺倒の価値観だけで今回の事件んを捉えていては、世界は決してよくはならない。
まずは自分で考えてみたい。

そんなことを考えていたら2008年公開のドキュメンタリー映画「ビン・ラディンを探せ!」を思い出した。
この作品はわれわれの固定された価値観を崩す上で、大事な一歩を提供してくれるかもしれない。

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この作品は映画評論家の町山智浩氏が紹介したことでも有名な作品だ。

監督はモーガン・スパーロック。一ヶ月間、ひたすらマクドナルドの食事を取り続け、アメリカのファーストフーズ文化に警鐘を鳴らした「スーパーサイズ・ミー」を製作した監督だ。

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さて、この「ビン・ラディンを探せ」でスパーロック監督はビン・ラディンを探し出すべくサウジアラビアからパレスチナ、エジプト、ついにはパキスタンを目指していく。
それぞれの場所で現地のイスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒などに意見を聞き、素朴に「ビン・ラディンはどこにいるの?」と聞き続ける。

監督がこの作品のコンセプトを思いついたのは2005年のことで「スーパーサイズ・ミー」のヒットを受けて次回作について考えていたときのことだそうだ。当時、ブッシュ大統領が再選され、ビン・ラディンが声明を発表し、テレビのニュース番組はビン・ラディン一色だったそうだ。そのとき、素朴に「で、ビン・ラディンはどこにいるんだ」と思ったことから製作が始まったとのことだ。

この作品の秀逸なところは、監督の妻が妊娠したことで、作品のテーマが大きくシフトしていることだ。これは監督自身も認めている。企画当初はビン・ラディンを探しに行く、という単純なコンセプトに過ぎなかったそうだ。しかしこの作品は監督の妻の妊娠に伴い「ビン・ラディンを生み出す社会の背景にはなにがあるのか?」そして「自分の子供が生まれてくる社会はどのようなものなのか?」という二つのテーマに変化を遂げている。結果として、イスラム教徒の人たちの生の声を聞きに行くという、非常に稀有なアメリカ映画となったのだ。

日本や西洋のメディアからの報道を見る限りにおいて、イスラム教徒というのはアメリカを毛嫌いしている、というふうに自然に感じてしまう。
しかし、スパーロック監督はこうした報道を単純に信じるのではなく、現地に行って現地の人々に触れ生の声を伝えてくれる。そして、彼らのひどい貧困などの社会情勢も余すところなく伝える。
なにより、この映画真骨頂は、スパーロック監督が現地のイスラム教徒たちと語り合う中で聞き出される彼らの生の声だ。彼らの意見は我々が普段の報道から得る印象とは全く違っていた。彼らはアメリカ人であるスパーロック監督を決して邪険に扱うことなく、真摯に質問に答えていた。そして「アメリカの外交政策や政治は嫌いだ。でも決してアメリカ人を嫌っているわけではない」と口を揃えて説明する。

これは驚きであった。自分がいかにアメリカ寄りの報道に毒されているか、ということもさることながら、「アメリカの政策」と「アメリカ人」を切り離して考える彼らの聡明さに敬意を感じた。

最近、いろいろな国同士で問題が起こると、それぞれの国で「国の政策」と「その国の国民」を同一視して感情的な誹謗中傷をお互いに繰り返す姿を見ることが多い。これは見ていて不快だ。なかにはこの誹謗中傷を率先して行い、煽っている報道機関まである。そんな中、イスラム圏の人たちの「アメリカの外交政策や政治は嫌いだ。でも決してアメリカ人を嫌っているわけではない」としてアメリカ人である監督と向き合い、誹謗することなく意見を言う姿はすがすがしかった(もちろん、全員がそうではないことはよくわかっているが)。

しかし、もうひとつ驚いたのはこの映画に描き出されるユダヤ教の人たちの対応だ。
イスラム圏の人たちの「アメリカの外交政策が嫌いだ」ということは具体的には「アメリカの親イスラエル政策が嫌いだ」ということを含んでいる。一方、少なくとも、一般の多くのアメリカ国民の中には「イスラエル=グッド」、「その他のムスリム国=バッド」という単純な図式があり、イスラエルを応援する感情があるのは否定できないだろう。以前、日本在住の外国人による討論番組を見ていたら、中東諸国の核保有を「悪の所業」と非難していたアメリカ人参加者が中東からの出席者に「イスラエルの核保有はどう思うのか?」と問い返されて「イスラエルの核はいい核だ」と真剣に答えていたのを記憶している。
しかし、この映画の中でスパーロック監督をもっとも邪険に扱ったのは、この他ならぬユダヤ教の人たちだった。
「政治について意見を聞かせてほしい」そう頼んでいるアメリカ人を怒鳴り散らし、インタビューを諦めて立ち去ろうとする監督を追いかけて小突き、因縁をつけていた。

もちろん、全部のユダヤ教の人たちがこうではないだろう。それは監督自身が後にインタビューの際にも指摘している。しかし、イスラム圏の人たちの対応と比べると非常に対照的だ。いろいろと考えさせられる。

そして、映画は最後に監督の「ビン・ラディンに会っても意味はない」という重い言葉で終わる。
監督は「たとえ、ビン・ラディンを捕まえても、人々をビン・ラディンのもとに駆り立てる貧困や社会不安を解決させない限り、ビン・ラディンひとりを逮捕してもなんの解決にもならない」と説明する。

ビン・ラディンが殺害された今、この監督の言葉が深くのしかかる。

もちろん、この映画がすべてではない。
この映画をきっかけにして多くのことを自分で調べる必要があるだろう。しかし、新しい視点を提供し、考えさせるきっかけとして、この作品は必見だ。


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  • Date : 2011-05-11 (Wed)
  • Category : 未分類
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Comment

  1. 名無しのコン太

    名無しのコン太

    2011-07-08 (Fri) 23:57

    アルカイダ指導者ウサマ・ビンラディンを殺害する映画を製作するにあたって
    1つの大きな問題点があります。
    それは、悪の象徴であるアルカイダ指導者ウサマ・ビンラディンに対する
    正義の象徴がいないことです。
    オバマ米国大統領でも、ストーリーにならないでしょう。
    無名のSealsの特殊部隊の隊員では、役不足です。

    そこで、私が原作と共に正義の象徴を提供します。
    正義の象徴となる人は、エシュロンキラーの名無しのコン太です。

    アルカイダ指導者ウサマ・ビンラディンは、宗教を利用し、私兵を使用し、テロで戦います。
    エシュロンキラーの名無しのコン太は、対照的です。
    エシュロンキラーの名無しのコン太は、無宗教で、エシュロンを利用し、情報戦で戦います。

    この経緯については小説仕立てにして記述しました。
    ”原作「エシュロンキラー」”という小説で、
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