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シリーズ・日本映画の海外公開版を考える5「風の谷のナウシカ」



今回は初めてアニメーションを・・・。
「風の谷のナウシカ」で・・・。

「風の谷のナウシカ」は日本映画史上に燦然と輝くアニメーションの名作である。オリジナリティにあふれた物語やその設定、自然に対する深遠なテーマ性を有した傑作である。


この作品の海外配給権は八四年版の「ゴジラ」の海外公開を行ったニューワールドピクチャーズ社に売られた。

ニューワールドピクチャーズにはアメリカにおけるすべての権利が売られたため、アメリカ公開に際しては日本側の主張はすべて通らず、アメリカ人の手により好きなように改変されてしまった。


監督の宮崎駿をはじめ日本側スタッフは再編集や粗悪な吹き替えを阻止するために必死になったようだが権利がすべて譲られた後のためどうすることもできなかったようだ。


その結果、アメリカ公開版はタイトルが「Warriors of the wind」となり英語に吹き替えられた上、大幅に短縮され九五分の上映時間となった。


こちらはドイツで発売されたアメリカ版「ナウシカ」のVHS。

筆者はこの英語版のビデオを入手したが、そのパッケージを見て驚いた。とてもこれが「風の谷のナウシカ」とは思えない代物だった。

パッケージは中央に大きな口を開けたバケモノがいて、そのバケモノの上には映画の本編には登場しない金髪の若者がライフルを片手のバケモノの手綱を握っている。

若者の隣にはこれまた本編には登場しない骸骨のようなロボットがマントを着てレーザー銃を撃っている。彼らの頭上の左上にはライフルを手にした正体不明の男がなんとペガサスに乗って空を飛んでいる。

反対側の左側の空に、ようやくナウシカらしき金髪のお姉さんが空を飛んでいる。このパッケージからはアメリカのB級ファンタジー映画の印象を受ける。


本編の物語は概ねオリジナルのままだが大幅なカットが行われている。オリジナル版の中でもっとも重要なシーンのひとつである腐海の植物がきれいな土と水を与えられなければ毒を吐くことがないことを示すシーンはきれいに削除されている。また、所々細かいシーンがカットされているため、おそろしくテンポが速く物語の流れについていくのが難しい。


英語版の翻訳、吹き替えも極めて出来が悪い。

まず、役名が変更されている。

主人公の名前が「ナウシカ」から「ザンドラ(Zandra)」に変更されている。

英語版の声を演じた声優たちもプロの声優かどうかも怪しいくらいセリフは棒読みで下手である。

この声優たちは登場人物の名前の呼び方すら統一することができておらず、「ザンドラ」は時に「サンドラ」や「シャンドラ」になり、そのほかの登場人物のひとり、「ユパ」も「ヤパ」になったり「イエパ」になったりしている。

脚本を英語に翻訳した人物も果たして日本語のわかる人物だったか怪しく、オリジナル版と著しく会話の内容が異なる部分が目立つ。

おそらく、会話の内容まで考えずに、そのシーンの雰囲気だけで英語版の脚本を作ったのだろう。


これだけひどい出来にもかかわらず、この英語版は公開当時アメリカで高く評価された。手元にあるアメリカのビデオガイドには「優れた作品で絶対に子供だけの作品ではない」と記されている。


オリジナル版を見たことがある者にとっては耐え難い作品となっているこの英語版だが、アメリカでこれだけ高く評価されたのは、オリジナル版が極めて優れた作品であり、大幅な改変(改悪)にもかかわらず、その輝きが完全に失われることがなかったからだろう。


宮崎駿作品は、この屈辱的な「風の谷のナウシカ」の経験の後、ディズニー・プロダクションと提携した。


この提携のもとにアメリカで「魔女の宅急便」がビデオ発売された。


(北米版DVD)

このアメリカ版「魔女の宅急便」はほとんど宣伝されなかったにもかかわらず、全米で大ヒットし、かなりの売り上げを記録した。

年間のビデオ売り上げランキングで八位を記録した(ちなみに同年の一位は「タイタニック」)。

その後発売された「となりのトトロ」なども好調な売れ行きをみせた。



このディズニーとの提携後、宮崎作品のアニメーションは英語の吹き替えにおいても大幅に改善された。

「天空の城ラピュタ」のアメリカ版では悪役を「スター・ウォーズ」の主人公、ルーク・スカイウォーカー役で知られる俳優、マーク・ハミルが担当し、また、フランス版の「紅の豚」で主人公の声を演じたのは「レオン」や「グラン・ブルー」で知られるジャン・レノである。


(ハミル)


(レノ)

アメリカ版「紅の豚」ではあのマイケル・キートンがポルコの声を演じた。


(キートン)







現在、宮崎駿のアニメーション作品は「ミヤザキブランド」としてアメリカで一部のマニアのみならず一般大衆にも広く支持されている。この現在の状況を作り上げるためには「風の谷のナウシカ」の悲劇は必要なステップだったのかもしれない。

「風の谷のナウシカ」という優れた作品が誤った形でアメリカに紹介されてしまったことは実に惜しいことだが、現在の日本製アニメーション映画の恵まれた状況を作り出すことができたのも、この「風の谷のナウシカ」をおいて他にはあり得なかったとも言える。
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  • Date : 2016-11-27 (Sun)
  • Category : 映画
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