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シリーズ・日本映画の海外公開版を考える3 「ゴジラ(1984年版)」




「シン・ゴジラ」のヒットは記憶に新しいが、一九八四年にも長い沈黙をやぶり「ゴジラ」は復活した。

しかし、期待が大きかったぶん失望も大きかったようで、日本ではあまり高く評価されなかった印象がある。

今回は「ゴジラ1985」のタイトルでアメリカ公開された1984年版「ゴジラ」について考察。
六〇年代から七〇年代にかけてゴジラは繰り返し映画化され、ゴジラは第一作目の持っていた凶暴さを失い、子供たちのアイドルとなり、一連のゴジラ映画は、ただの怪獣プロレス映画になってしまっていた。

(悪名高い シェーのポーズのゴジラ)



この八四年に製作された「ゴジラ」は再びゴジラを凶暴な怪獣として描き、原点に戻ることが目標とされた。しかし、完成された作品は問題点が多かった。



まず、ゴジラと対決する自衛隊にリアリティが薄かった。


(スーパーxはこの後、「ゴジラVSビオランテ」にも無人戦闘艇として登場・・・)

ゴジラとレーザー光線で対決したり、「スーパーX」なる特撮テレビドラマに登場しそうな荒唐無稽な兵器が出てきたり極めて興ざめさせられた。


も有名俳優たちのチョイ役での特別出演の多さも気になった。

ゴジラが井浜原発を襲ったときの第一発見者の石坂浩二をはじめ、ゴジラが新幹線を襲うときには新幹線の中で斉藤清六が転げまわり、かまやつひろし扮する牧師がニヤニヤしている。

鉄矢の扮する浮浪者である。この浮浪者はゴジラの襲撃により人がいなくなったホテルのレストランで食べ物をあさり、窓の外のゴジラに向かって「この田舎ものが!」と意味不明な言葉を吐く。

それだけにとだまらず、主人公たちが倒壊したビルからロープをつたって脱出しようとしたときにも登場し、主人公たちにロープの先を持ってくれるように頼まれると「いいとも!」と言い「笑っていいとも」さながらに両腕で大きな輪を頭上でつくったりする。さらにこの浮浪者がゴジラから逃げるときは映像が無意味にスローモーションになったりする。その上、ただ転んで頭を打って死んでしまう。


原点にかえり、凶暴なゴジラを目指した中でこれだけ悪ふざけをされると観客はコメディ的なこの要素には混乱してしまう。


さて、この復活した「ゴジラ」のアメリカ版は日本公開の翌年「Godzilla 1985」のタイトルで全米公開された。
アメリカ版は再編集され、アメリカ人俳優を使って撮り足されたシーンが加わっていた。




興味深いのは第一作目の「ゴジラ」のアメリカ版に出演したレイモンド・バーが一作目と同じマーティン記者の役で再登場したことである。

(レイモンド・バー)

レイモンド・バーは三十年の月日を経て再び同じ役を演じることを喜んでいたようで、「ゴジラファミリーの一員になれてうれしい」と当時のインタビューで答えている。


(第一作目のアメリカ公開版で演じた役を再び好演!)

筆者はこの文章を書くにあたり、久しぶりでこのアメリカ版を見直してみた。驚いたことにこのアメリカ版は悪くない。

失敗作だったローランド・エメリッヒ監督によるハリウッドリメイク版の「ゴジラ」と比べると完成度は高い。


アメリカ版はオリジナル日本版のかかえていた問題点がある程度改善されている。


オープニングのタイトルクレジットからしてアメリカ版の方が優れている。日本版はただ火山を背景にして出演者やスタッフの名前が出てくるだけだったが、アメリカ版では黒の背景に炎の棒が縦に横に流れ、そこに出演者やスタッフの名前が加わる。そして、この炎の棒がズームバックすると「GODZILLA 1985」の字が出てくるのだ。



物語はオリジナル版と同じように第5八幡丸がゴジラに襲われるシーンから始まる。大きな島のような影が第5八幡丸の前に現れ、ゴジラの咆哮が響き渡る。すると、場面はマーティン記者の書斎に変わる。ここでマーティン記者はなにかに怯えるように目をカッと見開き、机の上にある竜のエンブレムをじっと見つめる。


その後の展開はオリジナル版とほぼ同じである。マーティン記者が再び登場するのはソビエトの原潜がゴジラによって沈められた後である。アメリカの国防省は三十年前のゴジラの東京襲撃の生き残りとしてマーティン記者をペンタゴンに招く。


ちなみに余談だが、このソ連原潜の乗組員を演じたのは日本在住のアメリカ人俳優たちだったそうだ。
ロシア語の講師がついてアメリカ人俳優たちにロシア語のセリフを丸暗記させて言わせたそうだ。
ロシア語の講師曰く「ソ連で公開されないことを祈る・・・」とのことだったそうだ。

これまた余談だが、このときソ連原潜の艦長を演じたアメリカ人俳優、のちに日露戦争を描く日本映画(ドラマ?)に出演が決まり、監督から「ロシア語しゃべれるか?」と聞かれ「少し・・・」と答えて、日本兵を尋問するロシアの将校を演じたそうだ。

このとき、実はロシア語が全くしゃべれなかったこの俳優、「ゴジラ」で原潜艦長を演じたときのセリフをそのまま言ったのだそうだ。
とすると・・・、日本映画(ドラマ?)の中で日本人を尋問するロシア将校が「ゴジラ発見!」とかロシア語で言っている作品があるはずだ・・・。


さて、マーティン記者が国防省の軍人たちにゴジラの解説をする際、なんと一作目の「ゴジラ」のシーンがオペレーションルームのスクリーンに流れる。そしてマーティン記者は「ゴジラの死体は結局確認することができなかった」と伝える。


オリジナル版では一作目の「ゴジラ」のシーンはまったく使われていない。アメリカ版ではここで一作目の「ゴジラ」のシーンを挿入することによって一作目とのつながりが強調されリアリティを増すことに成功している。


また、米ソの冷戦時代に作られた作品のためかソビエトの扱いがオリジナル版と大きく異なっている。オリジナル版ではソビエトの貨物船に積まれていた核ミサイル発射装置がゴジラの攻撃により誤作動してしまい、ソビエトの将校は必死にそれを止めようとするも息絶えてしまっていたが、アメリカ版ではこの将校は「ゴジラを倒せるのはこの俺だけだ」と自らの手で核ミサイルの発射ボタンを押してしまう。つまり、発射ボタンを押すシーンが撮り足されている。


不幸にして武田鉄矢演じる浮浪者のシーンはアメリカ版にも残っている。

主人公とのからみもあるため残さざるを得なかったのだろう。

しかし、この浮浪者はオリジナル版のように頭を打って死んでしまうというわけではなく、きちんとゴジラに踏み潰されている。
もちろん踏み潰すシーンをわざわざ撮り直したわけではなく、ゴジラの歩いてくるショットに浮浪者の悲鳴が加わることで処理されている。


アメリカ版はラストシーンでもオリジナル版より優れている。オリジナル版では三原山の火口に落ちていくゴジラを首相や主人公たちが見守るだけだがアメリカ版では国防省のオペレーションルームでゴジラの姿を見守るマーティン記者たちの姿が挿入され、マーティン記者の「自然は人間の高慢さが生むおそろしい結末を批判し、われわれに人間がいかに卑小な存在かを思い知らせる。自然は嵐や地震ときにゴジラとわれわれを対決させわれわれの弱さを思い知らせる。人間の尊大さは人類の行く手を阻んでしまう。今回、罪のない悲劇の怪獣ゴジラは地の底に消えた。再び人類の前に姿を現すことはないだろう。そして、その教訓だけが後世に残されるのだ・・・」というナレーションとともに終わりを告げる。

かっこいいなあ・・・。


さらに、それにつづくエンドクレジットもアメリカ版の方が優れている。オリジナル版では「ゴジラ・愛のテーマ」(なんじゃそりゃ?)という軽薄な曲が場違いに流れていたが、アメリカ版では劇中に流れていたオーケストラの曲が使われて大作にふさわしい風格が感じられる。


(godzilla Love Theme)

全体的にアメリカ版のほうがオリジナル版より風格があり重々しい。しかし、問題がないわけではない。


まず、アメリカ版を作る上でのスポンサーになった清涼飲料水の「Dr. Pepper」の自動販売機や缶がやたらと画面に登場する。

また、国防省の軍人のなかに間抜けな軍人がいて、やたらと下らないジョークを連発する。

たとえば、モニターに映し出された東京の惨状を見て「日本はしゃれた都市再開発計画をしますね」などと言う。

この軍人はほかの軍人たちからも軽蔑されているが、この軍人は武田鉄矢と同様、無用な存在に思われる。

(こちらアメリカ公開時の予告編)


ニューワールド・ピクチャーズ社はこのアメリカ版「ゴジラ」を上映するにあたって「おまけ」の作品を同時上映している。

この作品は「ゴジラ、バンビに出会う」というわずか一分間のアニメーション作品である。

(「ゴジラ・バンビに出会う」)

「ゴジラ、バンビに出会う」は一九六九年にマーブ・ニューランドによって作られたパロディ作品で、花畑にバンビがいるとその上から巨大なゴジラの足が降りてきて踏み潰されてしまう、ただそれだけの実に下らない作品である。この作品は本編の始まる前に上映され、アメリカの観客は盛り上がったようである。


日本でもゴジラの復活は一種のお祭り騒ぎだったが、もともと陽気なアメリカ人にとってもお祭りのような盛り上がりがあったのかもしれない。
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  • Date : 2016-11-06 (Sun)
  • Category : 映画
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