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「零戦少年」

ゼロ戦パイロットだった祖父のインタビューをもとに作者が漫画化した作品。

今回はこの作品を取り上げる。

  

ゼロ戦のパイロットの物語というと過度にセンチメンタルかつ感情的になる作品が多い。
近年の話題作「永遠の0」はその代表といえるかもしれない。





特攻を扱った作品の場合、そういった感情論に走りすぎてしまうと(それはそれで大事だと思うが)、大日本帝国の行った「特攻」という二度と犯してはならない問題を歴史から客観的に考えることができなくなってしまう。

特に「永遠の0」などの作品を読むときに気をつける必要があるのは、創作作品は結局は戦争の時代を直接には知らない作者が書いているということである。

特攻という深刻な日本の問題を考えるためには作品の出来不出来とは別次元で「創作」ではなく「真実」の特攻について知らなければならない。これは平和を享受している私をはじめ「戦争を知らない日本人」であれば必ず考えなければいけないことだと考える。

そういった意味において保阪正康氏の「特攻と日本人」は必ず読まねばいけない本である。
保阪氏の元特攻隊員たちへの綿密な取材に基づき、この本には「人間」としての特攻隊員たちの真実がある。

  



冷静に読まねばいけない、と思っていてもその現実を前にしたとき、創作ではない真実から目を背けることが出来ず涙が止まらない。

したがってゼロ戦のパイロットになり、特攻隊員だった筆者の祖父の経験に基づく「零戦少年」は日本人なら読んでおかなければならない。


10年くらい前だろうか、一時期、戦争を美化するタイプの漫画が売れた時期があった。漫画というわかりやすい手法を用いて作者が「大日本帝国の戦争」を美化する形で自己主張する作品は、戦争を知らない多くの若者の心を捉えた。

最近、「戦争に行きたくないのは自己中心的で利己的」などと発言した若手議員がいたが、彼の幼稚な主張などは10年前に流行った大日本帝国美化漫画の主張に影響を受けているように感じる。

ただ、やはり10年ほど前にずいぶんと流行った大日本帝国美化漫画は生の元特攻隊員たちの取材に基づいているのではなく、作者自身が大日本帝国再評価という主張のために「作者が理想とする」特攻隊の姿がそこには描かれていた


大日本帝国の戦争を再評価しようとした一連の漫画を読んだ際、そこには真実味は感じられなかった。いってみれば戦時中のプロパガンダと言うのはこういった感じだったのかな、という印象を受けた。当時、実際に戦場を体験した水木しげる氏は当時はやったこの作品に関し、「読んでみて当時(戦争中)の威勢のいい時代を思い出した」と感想を述べ、間接的に非難していた。

  



それに対し作者の祖父の実体験に基づく「零戦少年」はまさに「真実の戦争」が感じられた。

農家の末っ子に生まれた作者の祖父は「出世したい」と願ってパイロットを目指す。
そして自分の周囲にも「愛国心」からパイロットになったものなどはいないのだ。

そんな主人公が負け戦を続ける日本の現状の中で嫌が王にも「戦争」の現実に巻き込まれていく。
「愛国心」とは別の次元で死んでいく戦友たち、空襲、焦土と化した都市・・・。

特攻で亡くなったパイロットたちを貶めるような発言は決して許されない。それは当然だ。しかし、彼らを美化し、さきに挙げた大日本帝国再評価漫画の作者のように「自分の理想とする歴史観」を訴えるために利用する(それがたとえ無意識であれ)のは、特攻隊員を貶める行為と同じであることを自覚しなければならない(最近の作品で前述の会日本帝国再評価漫画の作家は若干主張を変えているようではあることは公平を期すためにも記しておく)。

「零戦少年」は現実の戦争を描いた作品だけに、読み終わった時に深い感動を覚える。
こういった末端で戦った、現実に翻弄された若者たちの姿を当時の戦争遂行にあたった指導者たちがどれほどわかっていただろうか?そして責任を感じていただろうか?

ぞっとする内容の「戦陣訓」を発表した当時の首相は戦後、GHQに逮捕される直前に戦陣訓の内容を実践できず、彼の表現を借りれば「生きて虜囚の辱め」を世界にさらした。



彼は「零戦少年」に描かれた主人公のような苦悩や苦しみをわかっていたのだろうか?

  

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  • Date : 2015-08-29 (Sat)
  • Category : 書籍
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