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日本が対外情報機関創設へ・・・で思うのは押井守作品「ケルベロス」

2月28日産経新聞の朝刊、一面のトップ記事は「テロ脅威対応 対外情報機関創設へ」である。

内容的には分散している情報機関を集約させて能力の高い「インテリジェンス機関」を日本もつくるということになる。
インテリジェンスの強化、というのは最近は佐藤優氏が広く訴えているように日本の政治には欠かせないものだろう。

私は政治学者ではないが、こういった問題には専門外であっても関心は持ち続けるように心掛けている。

しかし、記事を全部読み終わって、日本の外交の情報機関の問題点や今後を考えたときに、思い浮かんだのは押井守監督の作り出した「犬狼伝説/ケルベロス」だった。


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日本の情報機関というのは現在、実に9機関もある。
その9機関は、内閣調査室、外務省、警視庁のそれぞれに所属し、バラバラに活動している。

問題は集約機能に乏しいことなのだそうだ。

そのため、これらを超えて一本化された効率的な対外情報機関の創設を目指すのだそうだ。

さらに対テロ対策部隊も陸上自衛隊の特殊作戦群、海上自衛隊の「特別警備隊」がある。さらに警視庁には有名なSATがある。

しかし、これからこれらの機関を集約した情報機関を作る、となると内閣調査室、外務省、警視庁、自衛隊の思惑が複雑に絡み合う生き残りをかけた勢力争いも想定されるだろう。

そんな状況との接点で思い出したのが「犬狼伝説」を代表とする押井守氏の「ケルベロス」シリーズだ。

もともとはドイツ色の強い武装部隊のイメージで押井氏が始めたシリーズと言われるが、その世界観は精密に設計されていてあなどれない。


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私が基本的に「ケルベロス」をこれから読む人にすすめるのは藤原カムイ氏による漫画シリーズだ。


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漫画だからといってバカにしてはいけない。
この漫画は読むものを選ぶ。読む方も覚悟と知性が必要だ。「漫画なんて」とバカにしているインテリ年配者なんかには決して解読することはできない。

初めて読んだときは戸惑った。なんの予備知識もないまま読んでしまったからだ。

この作品は途中から徐々に自分なりに解釈していくことが要求されるのだ。

物語を読み進めていくと、これはどうやら本物の日本の戦後をベースにしたパラレルワールドの物語であることが理解できてくる。

設定では第二次世界大戦、日本は日英同盟を基にドイツに宣戦布告したことになっている。
そして物語はドイツに決定的な敗北を喫した「もうひとつの日本の戦後史」として展開している。

「戦後ワイマール体制」を日本はとっており、その中で過激派がいて、それを抑制しようとする国家組織があり・・・といった具合。

「戦後ワイマール体制」とはすなわち現実の日本の戦後日米安保体制の鏡像ともいえる。

その中で過激派に対抗するために自治警察、自衛隊、そして首都治安警察機構(首都警)の3つの機関が存在している。
しかし政府は過激さを増していく首都警を廃止し、より集約した国家警察機関をめざし・・・というもの。

これは現実世界の報道「対外情報機関創設」にもつながった発想だ。

現実世界をパラレルワールドでなぞって来ていたのが本作だったが・・・ついに現実がフィクション作品をなぞりはじめたのか、とすら思う。

このカムイ版の魅力は、廃止の方向で向かう首都警のケルベロスと呼ばれる隊員たちの「避けられない終焉」へひた走る「破滅の美学」的な描かれ方だろう。

このシリーズの第一作目は押井守監督の実写作品「紅い眼鏡」だ。


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しかしこの「紅い眼鏡」はシリアス感がない。
「ケルベロス・サーガ」の中のスピンオフと捉えたほうがいいかもしれない。
カムイ漫画版のラストは「紅い眼鏡」につながっていることはつながっているが・・・。

その後、作品群は「ケルベロス 地獄の番犬」 「人狼」などと続く。


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しかし、ダークでリアルな、そして知性を要求されるほどの高い完成度を誇っているのはなんといって藤原カムイの漫画版だ。


カムイ・マジックとでも言っていいかもしれない。

思い起こすと荒俣宏原作の「帝都物語」の実相時昭雄監督映画版とカムイ氏による漫画版に関係が似ているような気がする。

荒俣宏の「帝都物語」という同じ原作を持ちながら映画版はおもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかな索引に仕上がっていた。


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しかしカムイ版の漫画は明治から大正という、これから悲惨な太平洋戦争に向かって行く「日本」という国が一瞬見せた「平和な時代」、その時代の危うさ、暗さ、一瞬の輝きを見事にとらえる作品に仕上がっていた。


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藤原 カムイ

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「ケルベロス・サーガ」も同じかもしれない。

押井守氏の原作をもとに、ちょっと不思議な騒がしさとコメディタッチのある「紅い眼鏡」それに対して実にシビアで「破滅の美学」を描いたカムイ版。

現実世界のこれからの情報機関をめぐる展開を考えながら・・・「ケルベロス」の世界観を考えてしまった。

ちなみにケルベロスの世界観の徹底ぶりはすごくて・・・。
こちらの本がすばらしかった。


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これは必読。設定資料として・・・というかすごすぎるなあ、この本。

それから、日本に勝利するドイツ軍の姿を描いた本まであるのだ!


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これは創造的な才能が作ったもうひとつの現実世界かもしれない、という錯覚すら起こす。
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  • Date : 2015-03-01 (Sun)
  • Category : 書籍
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