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HGウェルズ原作/「月世界最初の人間」の最新ドラマ版

SF小説家の元祖ともいえる英国のHGウェルズ。
「宇宙戦争」と並んで代表作と言われているのが「月世界最初の人間」だ。

若き事業化のベッドフォードと科学者のケイヴァーが反重力物質ケイヴァーリットを駆使して月に向かい、そこで昆虫のような外観の月面人に遭遇する、という物語だ。

この作品は何度も映像化されている。
今回はその映像化の歴史にスポットをあててみよう。


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さて、この作品の映像化作品を見ると日本で出版されている翻訳が正確ではない可能性が指摘できる。
日本では主人公のひとりである科学者の名前は「ケイヴァー」とされ、彼の発明した反重力物質は「ケイヴァーリット」とされている。しかし、「ケイヴァー」は原文では「Cavor」と表記され、映像化された作品(サイレント映画を除く)や朗読CDではすべて「ケイヴァー」ではなく「カボール」と発音されている。
したがって、反重力物質「ケイヴァーリット(Caborite)」も「カボライト」と発音することになる。
SFファンであれば押さえておきたいトリビアだ。


さて、この作品の最初の映画化は1902年、ジョルジュ・メリエスによって製作された「月世界旅行」だ。ウェルズの原作が発表されたのが1901年だから、その翌年にはすでに映画化されていたことになる。
月の顔にロケットが突き刺さる映像を記憶している人も多いだろう。



この作品は一般にはジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」が原作であるとされている。しかし、「砲弾に乗って月に行く」という発想はヴェルヌのものだが、月に到着して以降の月面人との対決はウェルズの「月世界最初の人間」を原作にしている。
監督のジョルジュ・メリエスは「特撮映画監督の元祖」とも呼ばれる人間だ。
メリエスはもともと手品師であったこともあり、様々なトリック(多重露出やストップモーション、遠近法の応用など)を映像にも駆使して世界初の特撮映画監督ともなった。
残念なことに、その後、映画製作の失敗や第一次世界大戦の勃発などの不運が続き、晩年は駅のキオスクの売り子をして生計を立てていた。1938年、養老院にてガンで亡くなっている。
人類史上初の特撮監督による名作のフィルムは溶かされて第一次大戦の兵士の靴底にリサイクルされてしまい、ほとんどの作品は現存していない。

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「月世界最初の人間」の二度目の映画化は1919年、本家本元のイギリスでブルース・ゴードン監督によって行われた。
しかしこの作品、残念なことに現存していない。英国映画協会が「現在も探している作品のリスト」に掲げている一本だ。
現在確認されているのは1919年の英国の映画雑誌「Kinematograph」と「Lantern Weekly」に掲載された宣伝スチールとポスターのみである。スチールはこちら。

moon

中心にしるのが月の支配者「グランド・ルナー」、周辺にいるのが月面人(セレニティ)、グランド・ルナーの足元に座っているのがカボール博士と思われる。


三度目の映像化は1964年、ハリウッドで行われた。
グランド・ルナーを特撮監督レイ・ハリーハウゼンが十八番のストップモーションアニメで表現したことでも有名。
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しかしこの作品、ラストのオチがなんとも・・・・。
主人公の2人(この映画版では女性も一人追加されているから正確には3人)が月面に行く、というプロットそのものは原作通りなのだが・・・・。
月面人がカボール博士の持っていった風邪の細菌によって絶滅してしまう、というのはどうも・・・それは「宇宙戦争」のオチだ。


さて、そんな「月世界最初の人間」だが、ついに英国で忠実な映像化が行われた。
英国BBCが昨年(2010年)の10月にTVドラマとして完全映像化を行った。
さすがウェルズを生んだ国が製作しただけあって今までで最高の作品になっている。



ウェルズの原作は当時の英国の帝国主義的植民地支配を揶揄しており、また文明同士の衝突(このテーマは「宇宙戦争」にも通じる)をテーマに描いているわけだが、今回のBBCのドラマはその辺もきちんと押さえていた。

さらに原作では月に大気があったことになっている。しかし当然、現実には月に大気はないわけで、そのあたりの整合性を整えるために新たなサブプロットが追加されており、一応、現代にも通用するSF作品に仕上がっている。
一日も早く日本でもDVD化されることを期待したい。


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  • Date : 2011-01-03 (Mon)
  • Category : 書籍
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