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  1. ☆筋トレ仕事人☆

    ☆筋トレ仕事人☆

    2010-12-29 (Wed) 15:19

    NASAの重大発表に関して、とっても分かりやすい
    考察、ありがとうございました。

    私は現在、デセプションポイント(ダン・ブラウン著)という本を読んでいて
    読んでいくうちに、この発表の真相を知りたくなりました。

    突然のコメントお許しください。失礼します。

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38

NASAの宇宙生物学の発見について

12月2日に行われたNASAによる重大発表。
一部からは「宇宙人の発見か?」と騒がれたが、純粋な科学上の発見だった。

発表から1週間が経過し、だいぶ落ち着いてきたので、内容について考えてみたい。

Wfm_mono_lake_landsat.jpg
<今回の発見の舞台のひとつ、上空から見たモノ湖>
まず、発表の内容はリン(P)の代わりに砒素(As)を使って生きることができる微生物が発見されたということだ。

これは実は生物学上においては画期的な発見といえるだろう。
生物が生きていく上で必須となる物質がある。それはC(炭素)、H(水素)、O(酸素)、N(窒素)、S(硫黄)とP(リン)だ。これらの元素は細胞を構成する大事な要素(ブロック)だからほかの物質では置き換えられないと思われていた。
ただ、もし地球とは異なる環境で進化した生物はこれらの元素と異なる物質をもとにできているかもしれない、という発想はあった。SFの世界では炭素のかわりに構造や性質の似ているシリコンが使われている異星人という設定は昔からよく使われていた。
しかし、今回の論文はリンの代わりに砒素を使うことができる微生物が発見された、というものだ。
つまり、別の物質を使っても生物は生きていける=ほかの惑星でリンの代わりに砒素を使う生物がいてもおかしくない。だから「宇宙生物学上の発見」と言える。

では、この細菌はどういうものなのか?

なにも普段からリンの代わりに砒素を使って生きているわけではない。
理解を深めるために、どのように今回の発見がなされたのかと辿ってみよう。
この研究グループはカリフォルニア州にあるモノ湖から細菌(正確には泥)を採取してきた。
モノ湖は塩湖のうえ、流入する川の水量が少ない。つまり、多くの水分が蒸発し塩分濃度が非常に高くなり、pHも強アルカリ性になっている。このような過酷な環境で生活している細菌はとてつもない生存力を持った細菌ということになる。したがって、極限環境の生体を研究する科学者にとってこのモノ湖は格好の研究材料となる。

さて、研究グループはこの湖から採取した泥をリンの代わりに砒素が多く含まれている培養液の中に浸した。当然、毒である砒素にさらされた細菌は死んでしまう。しかし、この砒素の多く含んでいる環境でも生き延びる細菌がいるわけで、それを調べることによって今回の「リンの代わりに砒素を使う細菌」が発見されたのだ。

つまり、研究グループは「リンの代わりに砒素を使う細菌はあり得る」と最初から当たりをつけて、今回の実験条件をつくったことになる。

しかし、この発見がどれくらい画期的なことか、というのは本音を言えば「あまりピンと来ない」という人も多いのではないだろうか。
しかし、やはりこの発見は大きい。
「リン(リン酸塩)」とは生体でどんな役目を果たしているのか、を考えると今回の発見の意義が理解できる。

リンの役割は
1)DNAやRNAの構造を保つ
2)脂質と結合することによって細胞膜をつくる
3)ATPとなった場合、生体のエネルギー源となる

いずれをとっても生き物にとって基本(なくては困る)構造に重要な役割を果たしている。
これを別の物質によって置き換えることが可能だ、という事実だけでも驚愕に値する。

さて、ここまでが今回の発見について。

こういった大きな発見のあとには必ず反論が出る。
今回もこの発表があってすぐに記事を書かなかったのは「反論」が出てからのほうが客観的に今回の発見を評価できると考えたからだ。
昨日あたりから反論がちらほらと聞こえるようになってきた。
反論について考察してみよう。

まず、実験の方法論に関して反論があるらしい。
この分野の研究の専門家ではないので、この方法論に関する反論を完全に理解できたわけではないのだが、どうやら、今回の研究グループが「DNAの構造を作っているリンが砒素に置き換わっている」とした実験結果は直接的に判定したのではなく間接的に測定した結果ということらしい。研究グループが使ったのは放射性同位元素によるラベリングをした砒素を細菌に取り込ませて、細菌内でのラベリングの分布を調べているようだが、専門家に言わせるともっと直接的な砒素の測定方法があるようだ。
おそらく、こんなところだと思う、ずいぶん論文を読んだのだが、方法論に関しては完全に理解できたとは思えないのでご容赦願いたい。

もうひとつの問題点は、ある程度理解できた。

研究グループが提示した「砒素に曝された細菌」の形態が膨らんで空胞を中に有している、というものだ。
通常、こういった形態の変化は細菌が毒物に曝された時に、体の中に進入した毒を隔離しようとしているときに見られるものなのだ。
つまり、この細菌は砒素を積極的に細菌の構造として使っているのではなく、体に取り込んだ砒素を隔離しているだけではないのか、というわけだ。
さらに砒素に曝された細菌からRNAがあまり採取されないことも、この反論の根拠になっている。
RNAがあまり存在していない、ということはDNAの情報に基づいてタンパク質が作られていない、ということだ。つまり、細菌は毒(砒素)に曝されてリン(P)をあまり消費しなくて済む、いわば「冬眠状態」になっているだけではないのか、というわけだ。


科学とはひとつの発見があると、反論が必ず出る。この反論にまた、研究グループが答えることでさらに発展していく。
非常に健全な科学の姿だ。

これからも新たな発見が続くだろう。

このテーマに進展があったら報告していきたい。

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  • Date : 2010-12-08 (Wed)
  • Category : 科学
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  1. ☆筋トレ仕事人☆

    ☆筋トレ仕事人☆

    2010-12-29 (Wed) 15:19

    NASAの重大発表に関して、とっても分かりやすい
    考察、ありがとうございました。

    私は現在、デセプションポイント(ダン・ブラウン著)という本を読んでいて
    読んでいくうちに、この発表の真相を知りたくなりました。

    突然のコメントお許しください。失礼します。

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