ウィスキーブームだ。
日本ではシングルモルトもロックで、さらにはハイボールにして飲んでしまう。
しかし本当はシングルモルトはストレートで飲むものだ。
そんなウィスキーにはいろいろな伝説がある。その中でも有名なのが「天使の分け前」だ。
樽の中で熟成されている間にウィスキーの一部は蒸発してしまう。この蒸発した部分を「天使の分け前」と呼ぶ。
そんな「天使の分け前」を題名にしたリアルな、そしてマジカルなコメディファンタジーが映画「天使の分け前」だ。
来年4月公開予定だが、鑑賞してきた。
さきにも書いたとおり、シングルモルトはストレートで飲む。これは英国では当たり前。
水割りにしたり、ロックにしたり、ハイボールには普通はしない。
ただ、お酒は好きに飲めばいいのだから、別にそれはそれでいいんだが・・・。
しかし、試してみるとわかるがシングルモルトに何か(氷、水、サイダー)を足すと味が変わってしまう。それくらいデリケートなのだ。
実はイギリスでは今、日本酒がブームだ。
ロンドンには日本酒専門のバーまである。しかし・・・イギリスで流行している日本酒の飲み方は「カクテル」のベースにして飲むことだ。
日本人のわれわれには抵抗があると思う。しかし、これはこれでいいのだ。イギリス人から見れば我々がロックや水割り、ハイボールでシングルモルトを飲むのは「日本酒をカクテルにして飲む」のに我々が感じるのと同じ違和感だろう。
しかしウィスキーの世界は奥深い。
複雑だし・・・。でもこの映画を見るとウィスキーの奥深さが表面的ではあるが理解できる。
物語もいい。やり直しのきかない人生はない、それをこの映画は力強く訴えてくる。大変でも耐えて、そして自分を高めようとする意思のある者は必ず苦境を抜け出せることをリアルに描いている。さわやかな感動を覚える快作だ。
カンヌ映画祭で審査員賞を受賞したのも理解できる。
特撮がてんこ盛りの作品もいいが・・・こういう作品は本当にすばらしい。
風景というか・・・スコットランスの景色もすばらしい。
さて、日本ではどうしてもウィスキーをロックにすることを前提で語るのであまり参考になる本がないのだが、ここでちょっとウィスキー(シングルモルト)ビギナー向けの書籍をいくつか紹介しよう。
一番いいのはこちら。
図表も多い。わかりやすい。
あとは酒一般になってしまうが読んでいて楽しいのは「レモンハート」シリーズ。
最初の一歩としては「レモンハート」はとてもいい。
私がウィスキーを勉強しようと思って最初に読んだのは「レモンハート」の原作、古谷三敏氏による以下のウィスキー本。これもとてもわかりやすくてよかった。
薄い本ではこちら。
ただロックで飲む飲み方が推奨されている雰囲気があるのがちょっと抵抗を感じたが・・・。
そしてやはりシングルモルトを学ぶに一番いいのは洋書になるがイギリスで出版された本。
私にスコッチを教えてくれた英国人が薦めたのがこの本だった。映画「天使の分け前」の中でも主人公がこの本でスコッチを勉強するシーンがあるほど英国では定番のスコッチの研究本だ。
あとは辞典的にこちらもおすすめ。
いずれも写真多数で英語が読めなくても楽しいのが特徴だ。
シングルモルトを片手に写真を見るだけでじゅうぶん豪華な時間が楽しめるのだ。
あと、わたしは個人的に晩酌にもシングルモルトを用いる。
ウィスキーというと晩酌にあわない、と思うかもしれない。でもこれが結構いいのだ。
私も最初、ウィスキーは単独で飲むものと思っていた。その常識を覆してくれたのはこちらの本。
ウィスキーがいかに食事を盛り上げてくれるかが多数の写真で紹介される。
食事を引き立たせるためのウィスキーコース料理が紹介されている。英語を読む必要は全くない。プロが選んだ豪華な食事とあうシングルモルトの取り合わせの写真の数々はなんとも口の中にヨダレが溜まってしまう。
またこの「Whiskey & Foods」の作者は日本のシングルモルトを高く評価しているのも心地よい。アメリカのウィスキー評論家は結局はアメリカのウィスキーを称賛して「日本のウィスキーは真似だけだ」と評することが多い。しかし本場英国のウィスキー評論家はほぼ100%日本のシングルモルトを高く評価する。
さて、ここまで読んだら・・・シングルモルト・・・飲みたくなるのが人情・・・。
シングルモルトのディープファンにはこだわりもあると思う。そこでビギナーの方におすすめの一本を・・・あくまでも私の意見だが、この一本をスタートとして紹介して嫌がられたことはない、という一本がこちら。
甘い香りと口当たりが心地よい。
是非、少量でいいからストレートで試して!
そして4月に「天使の分け前」を劇場で見て、さらに深いシングルモルトの世界を楽しみたいものだ。
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