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桐野夏生「東京島」

桐野夏生の「東京島」。

映画化までされて話題を呼んだ。
アマゾンのレビューを見ると否定的に捉えている読者も多いように見える・・・。

しかし、私は傑作だと思う。
その思いを徒然なるままに・・・。


東京島 (新潮文庫)東京島 (新潮文庫)
(2010/04/24)
桐野 夏生

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(今回は映画については触れないのであしからず)
さて、桐野作品の魅力(読者によっては否定的に捉える人もいるが)は、「現実に起きた」事件に根ざして作品が執筆されていることかもしれない。

桐野文学の最高傑作と私が勝手に信じている「グロテスク」は東電OL殺人事件がモチーフになっていた。


グロテスク〈上〉 (文春文庫)グロテスク〈上〉 (文春文庫)
(2006/09)
桐野 夏生

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そのほかにも「女神記」などもある。「事実は小説より奇なり」とよく言うが、桐野作品については「小説のほうが奇なり」かとも思う。
特に「グロテスク」は女性のライバル心がテーマのひとつになっていたりして、この組み合わせはよかった!


GrotesqueGrotesque
(2008/02/01)
Natsuo Kirino

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ちなみに「グロテスク」は英訳されているが、英語に翻訳するにあたってアメリカの出版社が検閲というか勝手にカットしてしまった部分があった。理由は「あまりにも過激だったから」とか言われいるが・・・。
英語版を読んでみるとカットされたのは少年売春の部分・・・。うーん、もっと過激なとこはいっぱいあるのに・・・なんで少年売春はダメなのか・・・・?現代アメリカの病んだ一面が感じられる。
ちなみにイギリスで発売されたときには「英語翻訳版はアメリカ人によって検閲されている」と情報が発売日前に流れてしまった。桐野作品「OUT」が高く評価されていたイギリスでは「グロテスク」の英語版発売を心待ちにしているファンもいたが・・・。
英国では「アメリカ人の検閲されたキリノは読みたくない」とした書評すらあった。
この検閲・・・英国での売上に影響したかもしれない・・・。



「東京島」は無人島に漂着した32人のうち、女性がたった一人だけ、という異常な状況で繰り広げられる人間模様が描かれている。

さて「東京島」にもモチーフとなった実際の事件が存在している。よく知られているアナタハン事件だ。

ここでは、アナタハン事件については細かく執筆しない(詳しく知りたければウィキペディアで調べてみることを勧める)。なぜなら、「アナタハン事件」と「東京島」がモチーフとしたもののほんの一部に過ぎないからだ。

桐野氏の「東京島」は様々な作品にオマージュを捧げた一大ユーモア小説なのだ。

まず、「東京島」の作品中にはストレートに桐野氏が言及している映画がある。
それはハリソン・フォードとリバー・フェニックスが共演したピーター・ウィアー監督作品の「モスキート・コースト」。


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(2007/12/07)
ハリソン・フォード、リバー・フェニックス 他

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この「モスキート・コースト」は無人島ではなく、人里離れたジャングルに暮らすことを試みる男とその家族の物語だ。
「東京島」を否定的に評価する文学評論家がいるが、一切「モスキート・コースト」に言及がないのは、不勉強といってもいいだろう。
それくらい、「モスキート・コースト」抜きには「東京島」の真価は評価できない、と私は個人的に思っている。

あと、これはどこまで反映されているかわからないが、イメージ的には東宝特撮映画の「マタンゴ」が反映されているかもしれない。

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ちなみに「マタンゴ」の原作「闇の中からの声」の新訳版が電子書籍MARIBUより200円にて絶賛発売中。
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さらにアイロニーとして隔離された状況の中で生きていく家族愛を描いた「アドベンチャー・ファミリー」も「東京島」がオマージュしている作品として挙げられるかもしれない。


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さらに忘れてはいけないのは夢野久作原作の「瓶詰地獄」だろう。
ネタバレにならないように、ここでは細かく書かないが「東京島」の最終章を見る限り、桐野氏は「瓶詰地獄」にもオマージュを絶対に捧げているのだと思う。

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(夢野久作の「瓶詰地獄」はハイクオリティ英訳版が電子書籍MARIBUより絶賛発売中。日本語オリジナル版も収録したお得版で200円。)
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こちらは「瓶詰地獄・英語版」発売時の海外向けCM映像。



このほかにもいくつか気になる作品があるのだが、これくらいにしておこうかとも思う。

私の考えすぎなのかもしれないが「東京島」は数多くの過去の名作小説や映画作品に思いを馳せながら読む一大ユーモア小説なのではないか、と思う次第だ!
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  • Date : 2012-06-13 (Wed)
  • Category : 書籍
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