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1943年製作・ナチス下のファンタジー映画「ほら男爵の冒険」を見る


第二次世界大戦前からアメリカでは多数のカラー映画が製作された。

日本軍がフィリピンを占領したときにディズニー映画の「ファンタジア」が発見され、日本兵たちが驚いたという逸話は有名だ。

しかし敗戦国となったドイツでもカラー映画はいくつも製作されていたことは我々の耳にあまり触れることがない。

今回はナチスのバックアップのもとに製作されたファンタジーカラー映画「ほら男爵の冒険」について考えてみたい。
「ナチス」の名がつくものはすべて否定する風潮があるが、歴史を学ぶためには戦勝国・敗戦国の範疇を超えて、すべてをきちんと見極めて歴史から学ぶことが大事だ。

それは芸術の世界についても同じはずだ。


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「ほら男爵の冒険」はドイツに伝わる民話をもとにしている、とされるが、主人公の「ほら男爵」ことミュンヒハウゼン男爵は実在の人物ミュンヒハウゼン男爵カール・フリードリヒ・ヒエロニムスがモデルになっている。

「ほら男爵の冒険」は多くの映画人の創作欲を刺激するようだ。

「モンティ・パイソン」出身のテリー・ギリアムが映画化したこともある。




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(興行的には失敗に終わったそうだが、実に豪華な特撮映画に仕上がっている)

さて、1943年製作のドイツ映画「ほら男爵の冒険」はハンガリー出身のジョセフ・フォン・バキー監督によって製作された。
しかし、この作品んはナチスの宣伝相ゲッペルスの肝いりで製作された作品だった。

ゲッペルスはアメリカで製作されて人気をよんでいたカラーファンタジー映画「オズの魔法使い」に対抗していたと言われている。

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(原作のダイジェスト版のような仕上がりだが、エメラルド・シティの「緑」やそこに続く「黄色い」道、カラーとモノクロの使いわけ、などカラーの醍醐味を存分に使い切った作品だった)

ゲッペルスは「ほら男爵の冒険」を製作するにあたってUFA映画社設立25周年記念映画とした。

UFAは政府系映画製作会社として設立されたが、ナチス時代には国有化された映画社だった。ちなみにナチスによって国有化された頃、「メトロポリス」で有名なフリッツ・ラングやビリー・ワイルダーなどの映画監督は亡命している。

「ほら男爵の冒険」はアメリカのテクニカラー方式に対抗してドイツ製のアグファカラー方式で製作された。
アグファカラーはテクニカラーより優れた一面も持っているカラー方式だったといえるだろう。
カラーフィルムは光の三原色を記録することが鍵となるわけだが、当時のテクニカラーがプリズムによって光を三原色に分解して3つのフィルムに別々に記録し、現像処理の段階でそれらを合わせていたのに対し、アグファカラーは多層発色内式フィルムを使っていた。

800px-AgfaDia_convert_20110925142718.jpg(アグファカラーによって撮影された初期の写真)

「ほら男爵の冒険」1943年3月に公開された。
特撮もすばらしく「オズの魔法使い」と比べても遜色のない作品だ。とくにトルコ軍の要塞に男爵が砲弾に乗って飛んでいくシーンや月旅行のシーンは目を見映る完成度だ。

しかし、皮肉にもこの作品が公開されたのは、ナチスが初めてドイツが劣勢に向かっていることを認めたことを象徴するゲッペルスの「総力戦演説」の一ヶ月後のことだった。

Bundesarchiv_Bild_183-J05235,_Berlin,_Großkundgebung_im_Sportpalast_convert_20110925142740(ゲッペルスの総力戦演説)



さて、余談になるが「ほら男爵の冒険」のアグファカラー方式のその後だ。

戦後、アグファカラーフィルムは進軍したソ連によって抑えられた。自前のカラーフィルム技術など持ち得なかったソ連は大喜びした寸法だ。
歴史の中で戦勝国として認識されているソ連だが、戦後の内情は混乱していた。特にスターリンの大粛清の惨状はナチスのホロコーストと中身はなんら変わらない代物だった。結果、映画だけでなくあらゆる技術に未熟さが目立ったが冷戦の中、それを認めるわけにもいかない状況にあった。
ソ連は大量に確保したアグファフィルムのストックをわが物としてカラー映画を製作した。その後、東ドイツ内にあったアグファフィルムの製作工場を抑えたソ連はアグファフィルムを使い続けた。

アメリカでもアグファフィルムは生き残った。
アメリカでは戦後アグファのアメリカ子会社だったアンスコによってアンスコカラーとして一時売られたが、後にMGMによるメトロカラーとなって生き残っていった。

敗戦とともに「ほら男爵の冒険」は歴史の中に消えていった。
現代では、何度もDVD化されている「オズの魔法使い」とは対照的な存在だ。

戦争の悲劇の中で忘れ去られた作品。しかし、忘れてはいけない多くの教訓も含まれている。

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  • Date : 2011-09-25 (Sun)
  • Category : 映画
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